INDEX
取組の背景
2007年8月1日米国ミネアポリス高速道路橋梁崩壊事故
2012年12月2日 笹子トンネル天井版落下事故
笹子トンネル崩落事故後の動き
年月 | 内容 | 詳細 |
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2012.12 | 笹子トンネル天井版崩落事故 | 事故直前の2012年9月に詳細点検を実施し、異常がないことが確認されていたが、コンクリート製の天井版が130mに渡って崩落し、走行中の方々が巻き込まれ、9名の方が亡くなった |
2013.2 | 道路に関する総点検実施 | ・ |
2013.11 | インフラ長寿命化計画の策定 | ・地域貢献を目的とする活動に対する市民意識の高揚 が見られる。限られた人材・予算で膨大なインフラの維持管理・更新等が求められる状況下、これらの積極的な活用が必要である。 ・市民団体等 各インフラを管理・所管する者は、各施設の特性等を踏まえつつ、 インフラの維持管理の担い手としての役割を期待されている地域 の市民団体等の活用を検討する。 |
2013.12 | 今後の社会資本の維持管理・更新のあり方について 答申 本格的なメンテナンス時代に向けたインフラ政策の総合的な充実 ~キックオフ「メンテナンス政策元年」~ |
①維持管理・更新の重要性に対する理解 ②社会資本の適切な利用 ③維持管理への参画等に対する協力 を得ることが必要である。 管理者は、維持管理の実施状況や施設の健全性等の実態についての『見える化』を推進すべきである。 ①地域住民による自主管理 ②民間ボランティアの活用 ③継承していくための地域住民の人材育成 地域社会との連携を推進する。 |
2014.4 | 最後の警告-今すぐ本格的なメンテナンスに舵を切れ 道路の老朽化対策の本格実施に関する提言 |
国民の理解・協働の推進 ①地域住民や学生、マスコミを対象とした橋梁の現地見学会 ②各地域における産学官の連携による橋守制度の取組み拡大 ③老朽化の現状や対策についての理解と協働の取組みを推進 |
2014.6 | 道路橋定期点検要領 | ・定期点検は、5年に1回の頻度で実施することを基本とする。 ・施設の機能を良好に保つため、定期点検に加え、日常的な施設の状 態の把握や、事故や災害等による施設の変状の把握等を適宜実施することが望ましい。 ・定期点検では、基本として全ての部材に近接して部材の状態を評価する。 |
2014.7 | 国土交通白書 2014 | 人口減少や財政状況の悪化等から、社会インフラの維持管理・更新が現状のままでは困難になったとき実施すべき対策について 「長寿命化」及び「維持管理・更新における住民協力の拡大」に肯定的な意見は64%と最も多く、「利用料金の徴収・引き上げ・増税」は最も否定的な意見が多かった。 地域住民の協力を求める場合、どんな取り組みに協力したいかについては ①美化、清掃…74% ②点検、通報…73% ③更新工事…58% という結果となり、全体として、増税等の経済的な負担をするよりは、維持管理に主体的に協力したいという意見が多かった。 |
2015.9 | 既設コンクリート構造物の維持管理と補修・補強技術に関する特別委員会報告書 | (一般市民との協力体制について) 暮らしを支えるコンクリート構造物の、日常的な点検をはじめとする維持管理において、一般市民との協働を図ることが重要である。 |
2016.11 | インフラメンテナンス国民会議設立 | 目的⑤ インフラメンテナンスへの市民参画の推進 市民参画によるインフラメンテナンスの可能性に関する調査・研究 |
2018.8 | 道路メンテナンス年報 | 判定区分Ⅲ、Ⅳの修繕着手率は国管理は62%に対して、市町村は13%に留まっている。 判定区分Ⅱの予防保全着手率は国管理でも25%、市町村に至っては2%に留まっている。 |
2019.2 | 道路橋定期点検要領 | ・定期点検は、5年に1回の頻度で実施することを基本とする。 ・施設の機能を良好に保つため、定期点検に加え、日常的な施設の状態の把握や事故や災害等による施設の変状の把握等については適宜実施するものである。 ・健全性の診断の根拠となる状態の把握は、近接目視により行うことを基本とする。 |
地方自治体の維持管理の現状
①膨大な橋梁数
2m以上の橋梁は全国に70万橋あります。
福島県にある橋は福島県が管理しているわけではなく、同じ県内にある橋でも、国道に架かる橋は国、高速道路に架かる橋は高速道路会社、県道は県、市町村道は各市町村がそれぞれ管理者になっています。その内訳はグラフの通り。国が管理している橋はたった4%、政令市を除く市町村は68%に上ります。
②限られた維持管理費
道路で考えると、国が直轄で管理している道路延長はたったの2%(23,681km)、市町村が管理している延長は84%(1,028,787km)にも上ります。しかし、維持管理費で比較すると、1年あたりの維持修繕費は、国の直轄管理は3890億円、市町村は6599億円。つまり、国の直轄管理道路は1kmあたり1650万円に対して、市町村の道路は1kmあたり64万円で維持管理しなければなりません。
③人手不足
市町村における全体の職員数も減少傾向であるが、それ以上に市町村における土木部門の職員数は減少しています。平成26年11月時点で、橋梁管理に携わる土木技術者は、市区の1割、町の3割、村に至っては6割以上が0人と回答しています。
④高齢化は人だけでない
高度経済成長期に集中して整備されたことにより、今後数年で一気に老朽化が進行します。建設後50年以上経過する橋梁は2018年時点で25%でしたが、5年後の2023年で39%、さらに10年後の2033年には63%と一気に老朽化が進行します。
つまり…
- ■高度経済成長期に建設された道路橋の高齢化=老朽化がここ数年で大幅に進む。
- ■道路橋定期点検要領:5年に1回の定期点検に加えて日常的な施設の状態の把握を適宜実施すると定めた。
- ■市町村が抱える橋梁数は膨大だが、予算、技術者は不足している。
- ■地域住民との協働による橋梁の維持管理の重要性を各専門家が指摘。
お散歩や通勤通学で使う橋は自分たちで維持管理できないのか!橋の歯みがきや日常的な点検は可能な限り住民でやってみよう!
活動の流れ
2012年6月~ 住民と学生との協働による道づくり
平田村にある砂利道の生活道路をコンクリート舗装して、住民の皆さんが通行しやすく、大雨が降っても砂利が流されて通行できないようなことがないように舗装しました。この道づくりは村民・役場・大学・建設業の4者が協働で道づくりをし、それぞれ4者にもメリットがある、という画期的な取組みです。
どうして、住民の手で道をつくるの?
一般的な公共事業では自治体から建設業者に発注して施工します。でも自治体から直接住民に依頼して資材を提供し施工すれば費用は1/3~1/5に抑えることができます。
4者が協働で行うことでwin-win-win-winの関係が生まれます。今後も、平田村でこの道づくりが行われます。道づくりで皆さんにお会いできることを楽しみにしています
2013年1月~ 橋の名付け親プロジェクト
道づくりでは地域のおじいちゃん、おばあちゃんに参加して頂きましたが、若い人にも参加してほしいという思いから、小学生を対象に橋の名づけ親プロジェクトを実行しました。今までは「33号橋」のように番号で呼ばれていましたが、番号橋に名前をつけてもらうことで橋に愛着が湧くはずです。
親の気持ち子供たちが名前を付けた橋は地域で大事にしようという気持ちに繋がり、「地域で守る」という意識が生まれるはずです。
蓬田小学校には「33号橋」の名付け親に、小平小学校には「72号橋」の名付け親になっていただき、それぞれ「きずな橋」、「あゆみ橋」という素敵な名前を付けていただきました。
2015年7月~ 平田村タイアッププロジェクト発足
道づくり、名付け親、橋守りを経て、2015年度から本格的に平田村を舞台に大学と地域住民とでタイアップし、研究に取り組むプロジェクトです。「インフラ長寿命化」、「インフラ整備」にスポットを当て、地域に根ざした活動を行っていきます。
簡易橋梁点検チェックシートができるまで
以下にこれまでのチェックシートができるまでの経緯を示します。
橋マップの構築
安全に活動しよう!「10の活動に際する注意事項」
福島県平田村から活動が始まり、全国で様々な方に橋のセルフメンテナンスに取組んで頂いています。「簡易橋梁点検チェックシート」は橋の上のみの点検項目で普段の橋の利用方法から逸脱しない範囲で点検することができますが、車や人の往来などに注意したり、雨の中や暗い中の点検はしないなど、活動を行うにあたりご自身の安全を守るために守って頂きたい注意事項があります。
安全に活動を行って頂くために守って頂きたい項目をまとめた「10の活動に際する注意事項」を作成しました。
印刷用とWEB用と2種類あり、WEB用ではスマートフォンから簡単に確認・承認できるようになっています。
↓クリックして詳細表示↓ | ↓クリックして詳細表示↓ |
安全に活動頂くためにも、活動前に、個人あるいは団体で必ず確認いただき承認くださいます様お願いいたします。
地域橋梁におけるセルフメンテナンスふくしまモデルの構築
セルフメンテナンスの定義:
地域の橋を、その利用者である住民や管理者らが日常的に点検し、簡易なメンテナンスを行うことにより、健全な状態に維持すること
と位置付けました。
①市民でも橋面上の点検ができる「簡易橋梁点検チェックシート」を用いて地域の住民や高校生、大学生、インハウスエンジニアの方々などが点検をします。
②パソコンやスマートフォンからそれぞれの自治体の橋マップを確認し、どの橋梁に汚れが多いか等を確認します。
③清掃をし、橋梁の予防保全活動を行います。
この3つのサイクルを循環させることで、橋面上の健全化を保つことができます。
最初は福島県平田村で住民主導型で行ってきた橋梁点検及び清掃活動でしたが、工業高校や高専、大学の生徒や学生の教材、またインハウスエンジニアが行う日常点検のツール、企業の地域貢献のツールとして全国に広まっています。
住民の皆さんで地域の橋を清掃・点検しようという取組みです。高齢化している橋の管理は自治体ですが、使うのは私たち住民です。普段使っている橋を簡単に清掃したり点検したりして、自分達で橋を守っていきませんか。橋を守ることは自分たちの命を守ることにもつながります。